「営業メールを送っているのに、反応がまったくない」
そう相談されたとき、私たちがまず疑うのは文面ではありません。そもそも届いているのかです。
私たちは広島でBtoBの営業支援をしている会社で、メール営業を自社ツールで毎日回しています。2026年7月1日から8月21日までの約7週間で、51,735件のメール送信を試みました。
この記事では、その実測データを出します。あわせて、その数字の読み方を自分たちが間違えて、送信箱を5つ全部止めてしまった事故も書きます。
結論:バウンス率は4.59%。分母を変えると0.84%になります
私たちのバウンス率は4.59%でした。ただし分母を変えると0.84%になります。同じ437件の話です。
バウンスとは、送ったメールが宛先不明で戻ってくることです。相手のアドレスが消えている、ドメインごと無くなっている、といった理由で起きます。
同じ437件のバウンスが、分母の取り方で2つの数字になります。
| 分母の取り方 | 計算 | バウンス率 |
|---|---|---|
| 届いた+戻ってきたを分母にする | 437 ÷ 9,528 | 4.59% |
| 送ろうとした全件(試行数)を分母にする | 437 ÷ 51,735 | 0.84% |
開きは約5.4倍です(51,735 ÷ 9,528 = 約5.4)。
調査の条件
期間: 2026年7月1日〜8月21日/メール送信の試行件数: 51,735件/バウンスの定義: 宛先不明で戻ってきた送信ログ/出典: 自社ツールの送信ログ(hoshimi調べ・2026年8月時点)
この記事でこのあと使う「4.59%」は、上段(届いた+戻ってきたを分母にした数字)です。理由は次の章で書きます。
なぜ分母で数字が5倍以上変わるのですか
送れなかった41,295件を分母に入れるかどうかで、率が5.4倍変わるからです。
メール送信の試行51,735件の内訳は、こうなっています。
| 状態 | 件数 |
|---|---|
| success(送信できた) | 9,091 |
| failed(送信できなかった) | 41,295 |
| bounced(宛先不明で戻ってきた) | 437 |
| skipped(送信対象外と判定) | 912 |
| 合計(試行数) | 51,735 |
failedが41,295件あります。試行の約8割です。
そして、このfailedの中身を調べると、39,390件(failedの95.4%)が同じエラーでした。
Invalid login: 454-4.7.0 Too many login attempts
Gmailの「短い時間にログインしすぎです」という制限です。宛先が悪いのではなく、こちらの送信箱の側の問題です。残りは「メールアドレスもフォームURLも登録されていなかった」が1,786件でした。
つまり、41,295件は相手に一度も届いていません。宛先が生きているかどうかも分かっていません。
生死が分かっていない41,295件を分母に入れると、バウンス率は必ず小さく出ます。これが0.84%の正体です。
第1に、宛先の品質を知りたいなら、届いたか戻ったかがはっきりしている9,528件だけを分母にすべきだと考えられます。第2に、かけた工数に対する損失を知りたいなら、試行51,735件を分母にする見方も成り立ちます。どちらが正しいかではなく、どちらの話をしているかを明記することが必要です。
関連記事: フォーム営業の返信率は何%か|19,075件の送信データの記事
バウンス率4.59%は高いのですか、低いのですか
断定しません。業種とリストの質で変わるためです。私たちは自社の推移だけを見ています。
「業界平均は何%」という外部の数字を、ここでは出しません。 出典と調査条件を確認できる資料が手元にないからです。分母の定義が書かれていない平均値と自社の数字を比べても、意味のある比較にはなりません。
一方で、こうも考えられます。バウンス率は他社と比べるより、自社の中で時系列を追うほうが役に立ちます。 リストの取得元を変えた月、古いリストを使い回した月で、数字は動くはずだからです。
特に印象的だったのは、バウンス率よりも「そもそも送れていない率」のほうが桁違いに大きかったことです。バウンスは437件、送信できなかったのは41,295件。先に手を打つべきなのは、明らかに後者でした。
分母を間違えると何が起きますか|送信箱5つが止まった話
送信箱が5つとも止まりました。実測は7.4%なのに、画面には14〜19%と出ていました。
ここからは、私たちの失敗です。
私たちは、バウンス率が一定の値を超えたら送信を自動で止める仕組みを作っていました。バウンスの多いリストを送り続けると、送信箱そのものの評判が落ちるためです。しきい値は8%に設定していました。
ある日、送信箱が5つとも自動停止しました。画面には14%から19%という数字が出ていました。
しかし、あとから実測すると、本当のバウンス率は7.4%でした。しきい値の8%を超えていません。止める必要はまったくなかったのです。
その間、営業メールの送信は完全に止まりました。5つの送信箱すべてが止まったので、その日は1通も出ていません。
原因は、率の計算そのものにありました。
- 分子: 今日届いたバウンス通知の数
- 分母: 今日の送信数
一見、正しく見えます。問題は、バウンス通知が数日遅れて届くことでした。
月曜に送った分のバウンスが、水曜や木曜に届きます。その通知が、水曜の送信数で割られていました。つまり、過去の送信分のバウンスが、当日の送信数で割られていたのです。
分子は数日分、分母は1日分。この期間のズレだけで、率は何倍にも膨らみます。
私たちは、この記事の前半でまさに同じ話を書いています。分母を変えれば、同じ437件が4.59%にも0.84%にもなる。それを説明する記事を書いている会社が、自分の運用では分母を間違えて営業を止めていました。数字の説明として書けることと、実際の仕組みに実装できることは、別なのだと痛感しました。
なぜ「平日だけ動く仕組み」が月曜に誤判定を生むのですか
バウンスの回収が平日だけ動いていたためです。月曜に土日2日分がまとめて上乗せされました。
さらに悪い条件が重なっていました。バウンス通知を回収するジョブが、平日しか動いていなかったのです。
土曜と日曜に届いたバウンス通知は、その場では取り込まれません。月曜の朝に、土日2日分がまとめて取り込まれます。
すると月曜の分子だけが、他の曜日より大きくなります。
曜日によって偏る誤判定は、特に気づきにくい種類の不具合です。毎日おかしいなら異常だと分かります。月曜だけおかしいと、「月曜は反応が悪い日なのだろう」で片付けてしまいます。
以上の結果から、率で自動判定する仕組みは、分子と分母の期間が揃っていることを最初に確認すべきだと結論付けられます。
自動で動く仕組みは、正しく動いているように見えたまま間違えます。この件も、送信箱が5つとも止まってその日は1通も出ない状態になるまで、誰も気づきませんでした。
率で自動停止する仕組みを作るなら、何を確認すればいいですか
分子と分母を同じ期間・同じ母集団で数えることです。止めた理由も画面に必ず出します。
私たちがこの事故のあとに直したことを書きます。
1つ目は、分子と分母を同じ期間で数えることです。 バウンスを「通知が届いた日」ではなく、「そのメールを送った日」に紐づけて数えるように変えました。遅れて届く事象は、元になった行動の日で数えます。
2つ目は、回収する仕組みの稼働曜日を、対象の発生曜日と揃えることです。 平日だけ回収して、送信は毎日ある。この組み合わせが月曜の山を作りました。
3つ目は、止めた理由をそのまま画面に出すことです。 「14%」とだけ表示すると、期間も母数も読み取れません。「4.59%(437 / 9,528・2026年7月1日〜8月21日)」のように、分子・分母・期間をそのまま書くようにしました。
一方で、デメリットもあります。バウンスを送信日に紐づけると、直近数日の数字は必ず低めに出ます。通知がまだ届いていないからです。直近の数字は確定値ではないという前提で見る必要があります。
よくある質問
バウンスが増えると、何が困るのですか
送信箱そのものの評判が下がると考えられています。私たちが自動停止の仕組みを作ったのも、この理由からです。ただし「何%を超えると何が起きる」という断定は、出典を示せないためここでは書きません。
バウンスと「送信できなかった」は違うのですか
違います。バウンスは送信したあとに宛先不明で戻ってきたもので437件です。「送信できなかった」はそもそも送信箱から出ていないもので41,295件です。この2つを混ぜると、数字の意味が変わります。
バウンス率を下げるには、どうすればいいですか
この記事で扱ったのは実測値と、判定の仕組みの失敗までです。リストの取得方法とバウンス率の関係については、実測が取れた段階で別記事にします。現時点で施策の効果を数字で示せないため、ここでは断定を避けます。
メールが届かない原因は、バウンスだけですか
私たちの実測では違いました。試行51,735件のうち41,295件は、バウンス以前に送信箱から出ていません。そのうち39,390件が送信箱の認証エラーです。文面を直す前に、送信の土台を確認したほうが早い場合があります。
この数字は他社にも当てはまりますか
当てはまるとは限りません。バウンス率は、送った相手の構成とリストの鮮度に左右されます。一方で、「分子と分母の期間を揃える」という設計の話は、業種に関係なく共通すると考えられます。
営業メールが届かない原因を、数字で切り分ける
ここまでの数字は、すべて自社ツールの送信ログから取ったものです。
私たちがこの記事で伝えたいのは、4.59%という数字そのものではありません。同じ437件が4.59%にも0.84%にもなること、そしてその分母の取り方を間違えると、営業が止まることです。
私たちは、その間違いを実際にやりました。送信箱が5つとも止まり、営業は完全に停止しました。しきい値の判定に使う数字が正しくないと、正しい運用をしていても止まります。
「営業メールを送っているのに反応がない」という状態のとき、原因は文面かもしれませんし、そもそも届いていないのかもしれません。切り分けるには、送信の記録が要ります。
私たちは、メール営業とフォーム営業の送信から返信の管理までを代行しています。届かなかった分の内訳も、隠さずそのままお見せします。
自社で送っているが、届いているかどうかも分からない。そういう状態であれば、一度ご相談ください。
この記事を書いた人
丸山 祐介/株式会社hoshimi 代表
広島でBtoBの営業支援(LinkedIn運用代行・フォーム営業・アポ獲得代行)をしています。前職のマーケティング会社ではCOOとして、営業利益を1年で5,000万円から2億円にしました。
自社ツールを内製して毎日運用しており、この記事の数字はすべてその実データです。
この記事の作り方
下書きはAIが書き、数字と事実は人が元データに当たって確認しています。確認が取れなかった数字は載せていません。
広島から、実測データごと営業支援をしています
この記事の数字は、株式会社hoshimi(広島市中区)が自社の本番運用で実測したものです。同じ仕組み・同じ実測レポートつきで、貴社の営業も運用します。
